Vampire Films
吸血鬼映画の部屋
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THE KISS OF THE VAMPIRE
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吸血鬼の接吻
UK - 88 min.
dd/mm/yyyy 11/9/1964 (USA) 26/1/1964 (UK) ??/8/1964 (Japan)

Introduction 序盤アウトライン

英国人のハーコート夫妻が自家用車でのハネムーンでドイツの片田舎を訪れる。やがて道に迷ってガス欠になる中、当地の寂れたホテルに宿を取った夫妻は、丘陵に城を構えるラヴナ博士とその一族と親交を深めるが、それは若く美しいハーコート夫人を狙うラヴナの罠だった。名士の肩書きを隠れ蓑にする中、実は吸血鬼一味の首領として当地に巣食うラヴナは、やがてハーコート夫人を仲間に引き入れるが、一方、妻を略奪された夫のジェラルドは、ホテルの主人や警察にも相手にされぬ孤立無援の状況下、酒浸りで自堕落な生活を送る一人の男に助けを求めるのだがーー
Various Note メモ:

ハマータイトルの中でも「ドラキュラ」シリーズとは切り離される1本だが、それも「凶人ドラキュラ (1966)」リリース以降の流れでの話。これは「吸血鬼ドラキュラ (1958)」「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」に続くシリーズのエポックのような意図でリリースされた1本。脚本は「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」「帰って来たドラキュラ (1968)」「ドラキュラ血の味 (1969)」「血のエクソシズム ドラキュラの復活 (1970)(未)」のアンソニー・ハインズ(Anthony Hinds)(製作も兼任)。撮影は「ヘルハウス (1973)」「地底王国 (1976)」「スター・ウォーズ ジェダイの復讐 (1983)」のアラン・ヒューム(Alan Hume)。音楽は「ドラキュラ」シリーズでもお馴染みのジェームズ・バーナード(James Bernard)。監督は「怪人フー・マンチュー (1964)」「白夜の陰獣 (1965)」「緯度0大作戦 (1969)」「怒りの日 (1975)」「オーロラ殺人事件 (1979)」のドン・シャープ(Don Sharp)。
出演は「歓楽街の殺人 (1954)」「暗黒の波止場 (1956)」「暴力のメロディー (1956)」「吸血狼男 (1960)」のクリフォード・エヴァンス(Clifford Evans)、「オペラの怪人 (1962)(未)」「007 私を愛したスパイ (1977)」「ライラの冒険 黄金の羅針盤 (2007)」のエドワード・デ・スーザ(Edward de Souza)、「知りすぎていた男 (1956)」「ドクトル・ジバゴ (1965)」「蛇女の脅怖 (1966)」「オデッサ・ファイル (1974)」のノエル・ウィルマン(Noel Willman)、「蛇女の脅怖 (1966)」「嵐が丘 (1992)」のジェニファー・ダニエル(Jennifer Daniel)、「アラビアのロレンス (1962)」「海賊船悪魔号 (1964)」「フランケンシュタイン死美人の復讐 (1967)」のバリー・ウォーレン(Barry Warren)、「文化果つるところ (1952)」のジャッキー・ワリス(Jacquie Wallis)、「007 ロシアより愛をこめて (1963)」「フランケンシュタイン死美人の復讐 (1967)」「シャーロック・ホームズの冒険 (1970)」「フランケンシュタインと地獄の怪物 (1974)(未)」「ザ・メッセージ (1976)」のピーター・マデン(Peter Madden)、「10番街の殺人 (1971)(未)」「ドラキュラ血のしたたり (1971)」のイソベル・ブラック(Isobel Black)、「ウィンスロー少年 (1948)(未)」「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」「HELP!四人はアイドル (1965)」のヴェラ・クック(Vera Cook)など。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
本タイトルがリリースされた1963年と云えば、いわゆる「ドラキュラ」シリーズの第二弾「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」と第三弾「凶人ドラキュラ (1966)」の谷間のような年代だが、そもそもこれは、ドイツ某所の架空のロケーションを舞台にするシリーズ1作目と2作目に続くいわば必然的な1本だったもの。カルト教団のような吸血鬼一味と主人公らの攻防を描く内容は、やがて迎えるクライマックスも吸血鬼モノにはあるまじき奇天烈なアイディアで幕が下ろされるが、実はこれも、原作路線からの脱却を図ったエポック的な意図が見え隠れする内容。原作を踏襲する1作目から手心を加えた2作目に移行する中、ここでの新境地の開拓も半ば当然の話だが、そもそも本タイトルが番外編のような扱いを受けるようになったのも、後の「凶人ドラキュラ (1966)」以降、伯爵の復活路線が大ヒットしてしまったため。まぁ、勝手な憶測にも過ぎないが、前作「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」を手掛けたアンソニー・ハインズ(Anthony Hinds)にしてみれば、恐らくは、ここでの画期的な内容にも純然たる「シリーズ」としての自負があったに違いない。
結果的には、伯爵が度重なる復活を遂げるやや安易な路線でマーケティングが成功を収める中、後年はアウトローとしてつま弾きにされる本タイトルだが、実の中身はかなりのヴォリュームで見所も満載。まずは、ハンターのジンマー教授(クリフォード・エヴァンス)が棺に眠る女吸血鬼を扉ごとショベルで串刺しにするオープニング。と云うか、ここでのインパクトは本家シリーズのオープニングでも味わえないものだが、続くリリカルなピアノと攻撃的な管弦パートが交錯するタイトルバックのスコアも絶品。と云うより、ピアノのリフを大々的にフィーチャーするロマン派路線の着想は、バーナードの仕事でも本家シリーズとは一線を画したもの。ちなみに中盤では、吸血鬼一味の息子カールを演じるバリー・ウォーレンが悠長なピアノを披露しているが、この辺りもかなり楽しい。アフレコには違いないものの、そのまんまのパフォーマンスをバリー・ウォーレンに弾かせてみせる演出は格別な説得力だったが、思えば、吸血鬼一味が新婚夫婦を罠にはめる仮面舞踏会シーンでのアンサンブルの演奏シーンなど、スキルの高いパフォーマンスを新鮮な状態で閉じ込める演出などは一連のハマータイトルでもかなりレア。それにしても、ヒロインのマリアンヌ(ジェニファー・ダニエル)を催眠状態に陥れる際、カール役のバリー・ウォーレンが披露するソロなどはすこぶる絶品。これは何回リピートしても楽しめる。
仮面舞踏会と云えば、舞踏会のゴージャズな様相から一変、参加者のどの辺りまでが吸血鬼一味なのかも判らなかった中、ヒロインの拉致に成功するや否や、実は全員が一味だった事を明らかにする辺りも不気味でイイ。と云うか、昨今の作品などではヴァンパイアが徒党を組むことも珍しくはないが、当時のシナリオでは正に画期的。ましてやここでの人数は半端じゃない。カルト教団のような白装束に身を包む終盤では30名近くの頭数だった事も明らかになるが、これは「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」で吸血鬼のシンパたちの存在を明らかにしていたアンソニー・ハインズの満を持してのモチーフだったと言える。見ている側とすれば、組織的な頭数の吸血鬼軍団とのクライマックスなど想像も出来なかった訳だが、ちなみにこの辺りは公開当時の観客にも新鮮な恐怖を与えたはず。
そんな一味が正体を露にする中、ヒロインの夫ジェラルド(エドワード・デ・スーザ)を孤立無援に陥れるスクリプトもイイ。和やかなムードも一変、ミステリアスなトーンに様変わりするスクリプトだが、この辺りの急激なギアチェンジは、連れ合いの失踪事件から孤立無援を余儀なくされる主人公を描く後年の「恐怖のレストラン (1973)(TV)」や「ブレーキダウン (1997)」にも似たような緊張感。もっとも、犯人が誰なのかが判っているここではそのシチュエーションも全くの別モノだが、何れにせよ、屈託なく楽しめたのは確か。人質同然の形で娘を取られたホテルのオヤジや警察にも相手にされず、最終的には、娘を餌食にされたジンマー教授との二人三脚で吸血鬼一味との対決に臨むジェラルドだが、やはり良くも悪くも絶大なインパクトだったのはあの怒涛のクライマックス。
そのクライマックスでのジンマーとジェラルドのミッションと云えば、ヒロインの救出と約30名の吸血鬼一味の退治という怒涛の2本立て。いわゆる「やれんのか?」状態だった訳だが、そこで披露されるネタは「毒を以て毒を制す」という仰天アイディア。指輪、剣、聖水、角笛と云う4つのアイテムを携えたジンマーがオクタグラムを擬えた「結界」たる円陣で破魔の儀式を行う中、邪悪なパワーを吸血鬼一味に逆流させる事で、本来は吸血鬼の手先となる吸血コウモリ軍団に一味を退治させる訳だが、そんな一網打尽的な都合の良いアイディアも、合成アニメと模型のコウモリが乱舞するここでは結構な説得力だったりする。と云うより、如何せんここはアイディアの勝利。数十名の吸血鬼退治も必須だった中、一同を紫外線に晒すような安易なアイディアに逃げなかった辺りが何よりイイ。ちなみにオプティカル合成と昨今のCGなどを比較するのもナンセンスな話だが、ここでの斬新なアイディアを前にすれば、映像のクオリティーなど二の次。恐らくは、同様のシークエンスをCGなどで再現してもその印象は変わるまい。
一方、破魔の儀式が威力を発揮するのも「山羊座と土星が重なる満月の夜」と限定するスクリプトだが、この辺りはやや微妙。と云うのも、一旦は吸血鬼となったヒロインが、儀式と平行に行われる神父の祈りによって人間に戻るため。山羊座や土星などネタのバックボーンについては全く知らないが、要は、そんな特別な日まで何故ジンマーは娘を生かしておかなかったのかと云う疑問が残ると云う事。作品によっては、咬まれた翌朝までにホストを退治すればOKというルールもあったりするが、咬まれてから一昼夜以上の時間が経過していたここでのヒロインにはそれも当てはまらず。ついては、冒頭でのジンマーの娘の処刑にも疑問が残るが、如何せんここは、ホテルの娘タニア(イソベル・ブラック)以下、救い出したいキャラも後を絶たなくなる中、仕方なかったと云う事なのかも。まぁ、何れにせよ微妙なのだが。
微妙と云えば、吸血鬼の親玉ラヴナ(ノエル・ウィルマン)の息子カールと娘のサビーナ(ジャッキー・ワリス)の2人がヒロインとジェラルドに舞踏会の招待状を届ける場面。デイウォーカーとして白昼堂々とホテルに登場するものの、実はまともな紫外線にはめっぽう弱い2人は、曇り空から晴れ間も覗かせようとする最中にアジトに逃げ帰る訳だが、そんな天候の変わり目を教えるのも何とあのジンマーだったりする。幌付の馬車で乗り付けていた中、退治するまでは行かなくとも、娘の仇の一味に一泡吹かせる事も可能だったジンマーだが、この辺りはやはり微妙。まぁ、親玉吸血鬼のラヴナが警察にも一目置かれる地元の名士として描かれる中、事を荒立てずに一網打尽の機会を狙っていたと云う事なのかもしれないが。何れにせよ、そんな社交辞令のような回りくどい調子のスクリプトもここでの特徴の一つ。中盤以降の急転直下の筋立てを際立たせていたのも事実。これも国内でのメディアリリースが待たれる1本。かつてのWOWOW放送ヴァージョンもかなり綺麗なマスターなのだが。
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