Vampire Films
吸血鬼映画の部屋
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THE VAMPIRE LOVERS
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バンパイア・ラヴァーズ (日本国内劇場未公開)
UK - 91 min.
dd/mm/yyyy 4/10/1970 (UK)

Introduction 序盤アウトライン

18世紀初頭、オーストリア・スティリア公領。山道で馬車の事故が発生する中、事故を目撃していたモートン卿と娘のエマが、危険な長旅を憂慮する被害者家族の頼みからカルミラと云う名の一人の娘を預かる事になる。親友を失ったばかりだったエマは、美しく知性にも富むカルミラの滞在に心を弾ませるが、時同じくして近隣の村では女性の変死事件が相次ぐ中、エマの身体も衰弱の一途を辿るのだがーー
Various Note メモ:

シェリダン・レ・ファニュ(Sheridan Le Fanu)の短編「吸血鬼カーミラ」をモチーフにする映像タイトルでは最も原作に近い1本。脚色は「血のエクソシズム ドラキュラの復活 (1970)(未)」「恐怖の吸血美女 (1971)(未)」「ドラキュラ血のしたたり (1971)」のチューダー・ゲイツ(Tudor Gates)。カーンスタイン三部作全タイトルの製作を手掛けるハリー・ファイン(Harry Fine)とマイケル・スタイル(Michael Style)も着想の段階で参加。音楽は、カーンスタイン三部作や「鮮血の処女狩り (1970)(未)」でもお馴染みのハリー・ロバートソン(クレジットは「ハリー・ロビンソン」)(Harry Robertson as Harry Robinson)。監督は「血のエクソシズム ドラキュラの復活 (1970)(未)」「アサイラム・狂人病棟 (1972)(未)」「墓場にて 魔界への招待・そこは地獄の始発駅 (1973)(未)」「スクリーミング 夜歩く手首 (1973)(未)」「ドラゴンvs7人の吸血鬼 (1974)」の ロイ・ウォード・ベイカー(Roy Ward Baker)。
主演は「ドクトル・ジバゴ (1965)」「ローマで起った奇妙な出来事 (1966)」「オーソン・ウェルズのフォルスタッフ (1966)」「荒鷲の要塞 (1968)」「鮮血の処女狩り (1970)(未)」「ウィッカーマン (1973)」のイングリッド・ピット。主な共演は「古城の剣豪 (1955)」「クレオパトラ (1963)」「まぼろし密輸団 (1964)」「ジキル&ハイド (1996)」のジョージ・コール(George Cole)、「狂ったメス (1967)」「キャサリン大帝 (1968)」「ならず者たち (1969)」「夕映え (1974)」のケイト・オマラ(Kate O'Mara)、「フランケンシュタインの逆襲 (1957)」「吸血鬼ドラキュラ (1958)」「フランケンシュタインの復讐 (1958)」「吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)」のピーター・カッシングPeter Cushing)、「吸血鬼 (1967)」「荒鷲の要塞 (1968)」「八点鐘が鳴るとき (1971)」のファーディ・メイン(Ferdy Mayne)、「暗闇でドッキリ (1964)」「若いけものたち (1971)」「シンドバッド黄金の航海 (1973)」「007 オクトパシー」のダグラス・ウィルマー(Douglas Wilmer)、「ドラキュラ血の味 (1969)」「007 死ぬのは奴らだ (1973)」「フランケンシュタインと地獄の怪物 (1974)(未)」のマデリン・スミス(Madeline Smith)、「ジキル博士の二つの顔 (1960)」「怪人マブゼ博士 (1960)」「哀愁のパリ (1970)」のドーン・アダムス(Dawn Addams)、「日曜日は別れの時 (1971)」「フレンジー (1972)」「ナイル殺人事件 (1978)」のジョン・フィンチ(Jon Finch)、「素晴らしき戦争 (1969)」「恐怖の吸血美女 (1971)(未)」「戦争と冒険 (1972)」のピッパ・スティール(Pippa Steel)、「恐怖の吸血美女 (1971)(未)」「ドラキュラ血のしたたり (1971)」のカーステン・リンドホルム(Kirsten Lindholm)、「ドラキュラ'72 (1972)」「レディ・カロライン(1972)」「スクリーミング 夜歩く手首 (1973)(未)」「1984 (1984)」のジャネット・ケイ(Janet Key)、「トリプルクロス (1966)」「恐怖の吸血美女 (1971)(未)」「ドラキュラ血のしたたり (1971)」のハーヴェイ・ホール(Harvey Hall)、「バニー・レークは行方不明 (1965)」「ニコライとアレクサンドラ (1971)」「墓場にて 魔界への招待・そこは地獄の始発駅 (1973)(未)」「ドラゴンvs7人の吸血鬼 (1974)」「恐るべき訪問者 (1980)」のジョン・フォーブズ・ロバートソン(John Forbes-Robertson)など。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
70年代初頭、往年の首脳陣が第一線を退く中、撮影の本拠地をブレイ・スタジオからEMIエルストリーに移転するハマーだが、そんな新たな首脳陣が生き残りをかけて辿り着いたのが米AIPとの提携によるハイブリッドな形でのフィルム製作とマーケティング戦略。そんな新機軸の下でリリースされた第1弾がこのタイトル。さり気なくも驚かされるクレジットについては、冒頭では"An American International - Hammer Films Production"と云うクレジットだった一方、圧倒的インパクトのエンドクレジットでは社順も全く逆だが、ついてはこれもハマー側が製作のイニシアティヴを握っていた事の証。実際、要所を締める女性キャラも易々とトップレスになる中、ゴシック調の装飾セットをキャーキャー走り回る描写などヤンキー色もかなり強いが、実は、娯楽色をシラけさせるようなレズビアン描写などを嫌がっていたのはAIP側で、一部のファンの間では「俗悪」とされた一連の描写も、ある種、妥協の狭間で生み出された境界線上でのご愛嬌な産物。
そもそもの話、個人的にはデカダン全盛期にリリースされたレ・ファニュの原作もコテコテのモンスターホラーだと思っているが、そんなホラー色とダイナミズムを貫くここではトップレスのサービスもむしろ効果絶大で思い切り楽しい。と云うか、カーミラ(イングリッド・ピット)の毒牙に掛かる犠牲者の数も倍増させる中、キャラクターの相関関係も分かりやすく纏め上げるここでの脚色は、ある意味アッパレ。巷ではすかした論評などが幅を利かせていた中、原作のダイナミズムに心酔していたファンなどはここでの脚色には狂喜乱舞したはず。と云うか、濃厚なヌードやレズビアン描写を売りとするようなコピーなども実は大ハズレで、そんなコピーを目にした時点で多くのホラーファンが引いてしまったような気もするが、何れにせよこれは、製作側の苦肉の状況で生み出された中途半端なエロスの描写が期せずしてダイナミズムを引き立てる結果となった純然たるホラーの快作。ちなみにシャレ程度に止まるエロスの描写については、上質な濡れ場も絶品な「吸血鬼ハンター (1974)」などと比較するのも面白いのかも。キャロライン・マンローとマデリン・スミス(ヒロインのエマ役)という後年のボンドガールズも同じ土俵に立つ訳なので。
脚色については、分かりやすくも決してコンパクトでもなく、むしろ羽を伸ばした感もあるが、その筆頭は、吸血鬼ハンターのハートグ男爵(原作ではヴォルデンヴェルグ男爵に該当するキャラ)とカーンスタイン家の因果関係を明快にしている点と、ピーター・カッシング演じるサブキャラ的なスピールスドルフ将軍(原作ではスピエルドルフ将軍)の悲劇の過去を原作のようなフラッシュバックではなく、絶大なインパクトのイントロとして明確な映像にしている点。ちなみに、原作でのローラと云うヒロインの名前は、ここではカーミラに殺害される将軍の姪(原作ではベルタ)の名前となっているが、これは原作もうろ覚えだったファンにはチョットした衝撃だったはず。と云うのも、序盤の二十数分あたりでローラが死んでしまうため。よくよく思い出してみれば、原作でも将軍の姪は殺害されるキャラで、その後段以降のヒロインの思い出話が本筋だったと気付ける訳だが、この辺りのキャラ名の設定が意図したものであれば、脚本サイドも何気にお見事。斯く云う自分も実は驚かされたりしたので。
吸血鬼ハンターのハートグ男爵(ダグラス・ウィルマー)については、原作に登場する「ヴォルデンヴェルグ男爵」を引き合いに出すのも難があるような気もするが、やはり、劇中でも1、2を争う美しさの女吸血鬼(カーステン・リンドホルム)の首をはねる冒頭のインパクトは絶大で、そんな処刑行為もカーンスタインの毒牙に掛かった姉の復讐だったとする明快な内容は歓迎すべき所。ちなみに原作では、吸血鬼となった元恋人のミルカーラに止めを刺せずに吸血行為の便宜を図る「モラヴィア人の貴人」の末裔として登場する中、そんな祖先の過ちを償うヴォルデンヴェルグ男爵だが、やはりこれでは娯楽路線の脚色には不向きで分かり難い。
脚色と云えば、原作では対照的なタイプの2人の家庭教師(「マダム・ペドロン」と「マドモアゼル・ド・ラフォンテン」)が登場していた中、知性派のラフォンテン型の女史ペドロー(ケイト・オマラ)という1人のキャラに纏め上げる辺りはコンパクトだったが、そのペドロー女史のみならず、新手の執事キャラ(ハーヴェイ・ホール)をカーミラの手先として毒牙にかける辺りはこの脚色版ならではの見せ場。中でも、執事がニンニクの花でカーミラの妨害をする描写などは原作にはなかったもので、そんなニンニクをモチーフにするアイディアもハマータイトルならではのサービスだったと言える。ちなみにこれも、旅芸人がヒロインに魔よけを渡す原作のアレンジだが、原作と云えば、やはり一連のカーミラの描写がその真骨頂。
化け猫に似た真っ黒な動物にも変身する中、斧を振り上げる将軍を一ひねりする怪力も発揮する原作のカーミラだが、前者については、合成特撮も功を奏してなかなかの出来栄え。一方、伯爵モノではおなじみの後者のような描写は割愛されているが、その辺りは、その場から瞬時に消え去るイリュージョン的な特撮描写で見事にカヴァー。やがて迎えるクライマックスでは、杭を打ち込まれて首を打ち落とされるカーミラだが、この辺りは原作にもほぼ同じ。ちなみに冒頭を含めれば、2度の首切りシーンが炸裂する映像だが、ここまでのグロ描写にはややビックリ。後年のシリーズにも首切りシーンは登場するが、やはりこれはAIPとの提携イッパツ目にしてのご祝儀のような感じだったのかも。
黒衣の謎の男がほくそ笑む最終カットについては、シリーズならではの計らいだった訳だが、実はこの謎のキャラも原作のアレンジ。と云うか、「カーンスタイン=元凶の吸血鬼」というシンプルな定義を貫くここでは、あの黒衣の男もカーンスタインと云う設定でほぼ当確だが、ちなみに原作では、将軍と姪のベルタが欺かれる舞踏会の回想シーンのみに登場するスポット的なキャラ。何れにせよ、脚色版のここでは重要キャラとして登場する中、「ドラゴンvs7人の吸血鬼 (1974)」ではシリーズフィナーレの伯爵を演じるあのジョン・フォーブズ・ロバートソンが演じていた訳だが、純然たる2本のハマータイトルでカーンスタインとドラキュラを演じたロバートソンの名前がファンの間でもイマイチの知名度と云うのも何気に微妙な所。
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